山口さんのモロッコ紀行−6

1999-Oct

●噂のKLM

 利用した飛行機はKLMオランダ航空だった。アムステルダム経由でモロッコのカサブランカに向かうのである。

 KLMは、航空会社の人気ランキングでベスト10入りしていると聞いたので期待して乗ったのだが、サービ スはJALに近かった。日本人客室乗務員(最近はスチュワーデスと言わないらしい)がおり、機内食には和食 が出、間食はカップヌードルとアイス。 ただ、椅子のカバーに穴があいていたり、背もたれがゆるんでいたり という設備面を考慮に入れると、JALを10点とすれば、KLMは8点というところだ。

 特徴的だったのが、映画だった。定番の豪華3本立てで、「エントラップメント」「ノッティングヒル」に続 く3本目は、字幕入り1時間もので未知の作品。しかし以前、飛行機の中で見逃した無名作品が、後で日本で評 判を呼んだことがあった。たまには真面目に見るか。

 一人の老爺が轢き逃げ事故で命を落とした。老人は、腕時計を指さしながら、謎のメッセージを残す。 サスペンスチックそうな始まり方で、タイムマシンの秘密を巡るストーリーだった。 なかなか面白そうだ。でも、何か、どこかおかしい。なぜだろう?

 5分ほど見ていて、わたしはやっと違和感の原因に気付いた。

「助けてくれ!君の助けが必要なんだ、リチャード」

「ええ喜んで、メアリー」

 男女の言葉使いが反対だったのである。

 原因が分かっても違和感は消えなかった。しかもよく見ると、セットは「できるかな」の豪華版程度。 ストーリーも徐々に支離滅裂になってきた。

 結局見終わってみれば、それは竜頭蛇尾どころか「竜頭オタマジャクシ尾」の、B級SFサスペンスコメディ ー映画であった。折角みんなが寝ている中、最後まで見続けたのに、何てこったい。

 以上より、KLMに対する個人的な感想を一言で言えば「無難な乗り心地」であった。当初はオランダらしさ を期待していたので少々残念だったが、もし乳製品責めだったら評価は−5点くらいだったはずなので、結論と しては「まずまず合格」といえよう。


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