山口さんのモロッコ紀行−5

1999-Oct

ゲートまでの道遠し

 搭乗券をもらった後、搭乗ゲート前に15分後に再集合ということでその場は一度解散になった。 時間もないので一行はすぐそちらに向かったが、わたしは一人逆方向にダッシュし、売店に飛び込 んだ。カメラ調達のためである。

 とりあえず、撮りっきりカメラ6コで6千円強。初日から出費だなあ、せめてダイエーがあれば、 などとセコいことを考えつつレジに向かった。

 とその時、レジ横に置かれた4千円のカメラを見つけた。手巻きだがフラッシュも付いている。 フィルム6本で2千円だから、合計の値段は前者と同じだ。でもこちらの方が、後でフィルムが足 りなくなったとき安上がりか?

 品物を手渡さない客を怪訝な顔で見つめる店員の前で両者を見比べること約10秒。結局、採用 されたのはカメラ+フィルム案であった。

 買い物が終わると、もうほとんど集合時間。急いで走りだしたのだが、永遠の真理・マーフィー の法則通り、ゲートに着くまでにはいくつかの、徐々に高くなるハードルが用意されていた。

 あっ、そういえば、空港税はどうなってたっけ?セーフ、搭乗券に含まれていた。

 あっ、そういえば、出国手続きがあるんだった。しかもこんなときに限って大行列、焦るなあ。

 いや、ちょっと待てよ、乗り継ぎのときの書類はどう書くんだっけ?

 頼りのサンタはもういない。ツアーの人も、もういないか、いても顔が分からない。わわーっ、 どうしよう!

 あわやパニックに陥りかけたが、旅行慣れしていそうな人に聞いて教えてもらい、何とか出国審 査を済ませた。

 あとはゴールインするだけだ、と思いきや、ゲートはよりによって最も遠い5番ゲート。えーっ、 嘘じゃないか、ここから1km?

 長距離走が得意だった小学校時代に「瀬古俊彦」の名を奉られた華麗なる走りで人々の目を魅了し つつ、わたしは駆けに駆けた。そして、もう全員が搭乗後の散関としたゲートを抜け、息を切らせて飛行機に乗り込んだ時、 この日分のパワーはも う使い切った・・・と思ったのであった。


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