田崎さんのパリ紀行−15
1999-Nov
ベルサイユへいらっしゃい 5
〜トイレ・その謎〜
王妃の大居コを過ぎると、とりあえず普通の見学コースは終わりとなる。他にも何コースか別の部屋を
覗けるコースもあるようだが、どうやってそのコース申し込めば良いかは、カルト・ミュゼで入ったわ
たしには解らなかった。
内部見学が終わったら次は庭園見学、といきたいところだが、その前にトイレへ行っておこう。
何しろ大きさがキロ単位の庭園である。生理現象をもよおしても即座にトイレが見つかるとは限らない。
宮殿を出てすぐのところで日本人ツアーのガイドさんがトイレの場所を指ヲしていたので、これ幸いと
O人でトイレへ向かう。
トイレは宮殿の中以上の大混雑だった。人一人がやっと通れるほどの狭い通路にずらりと人
が並んで、トイレから出てくる時は居並ぶ人を押しのけてようやく外へ這い出すという有様。
おまけにベルサイユのトイレは有料であった。
トイレ入り口にはチョコやキャンディーなどのお菓qを並べたミニミニキオスクのような売り場があり、
そこには、やはりキオスクにいるようなおばさんが座っていたので、
「トイレの前で食べ物を売るなんて、すごい商売だなぁ。わたしだったら気分的に買いたくないぞ」
と感心(?!)しながら通り過ぎようとしたら、番台のおばさんが金をよこせと言うではないか。
よくよく見ると番台にはトイレの料金表ヲが掲げてある!
入場料を取った挙げ句にトイレまで有料だったのは、今回の旅行の中ではベルサイユだけであった。
何時の世もベルサイユは市民から金を搾取するものらしい。やるなぁ、ベルサイユ。
それにしても、有料なら、もう少しトイレを拡張して欲しい。観光バスが大挙して押し寄せる場所なの
に、女性用トイレが三つだけとはお粗末過ぎるぞ。
シーズンオフの時期なのに、ツアー客だという関西人のおばさんが集合條ヤに間に合わないというので、
順番を譲った(というか譲らされたというか。順番としてはわたしの後ろだったので、大した時間差は
ないと思うのだが)ぐらい、長蛇の列ができたいたのだ。
これだけのトイレでシーズン中はどうやってしのいでいるだろう??
ベルサイユに訪れた中で時代のようにおまる使用・・・なわけはないだろうなぁ。
ベルサイユへいらっしゃい 6
〜プティ・トリアノン&
ジョギングするフランス人〜
トイレで思わぬ時間を喰ってしまったが、ツアーでないものの強みで時間を気にせぬ一行は、庭園のお
U歩へと向かった。
大きな池には白鳥ボートがあるように、大きな庭園には巡回用の園内列車があった。遊園地にあるよう
な簡単な屋根付き三両編成列車には、もう結構な数のお客が乗っており、その隣では空の馬ヤにつなが
れた馬と手綱を持ったおにーさん達が手持ちぶさたに列車を眺めていた。
どちらも園内を回るようだが、寒空の下の馬ヤは見るからに寒そうだった。というわけで園内巡りの足
は列車に決めた。
列車の運転閧フおじさんに35フラン(ぐらいだった)を払って列車に乗り込む。そして満席になった時点
で列車は出発した。モーター音をあげて走る列車の動力は電気だ。エコロジーの波はこんなところにも押し寄せているのである。
歩くよりは速いというぐらいの速度の列車から広大な庭園の一端を眺めつつ到着したのは、プティ・トリアノン。
ベルサイユに嫌気がさして造らせたという離宮は、「プティ=小さい」の名の通り、ベルサイユ宮殿に
比べたら100分の1(見た目)規模の離宮だ。
それでも、2LDKの部屋が4つあるアパート程の規模はある。そして、その横には召使いのための部
屋と思しき棟がずらずらっと並んでいる様は、これだけで立派な宮殿に見える。
一体、これのどこが小さいんだーとぼやきつつ中へ入る。そこは、金銀極彩色のベルサイユ宮殿を見学した後
では、非常に地味に映る内装だった。
黒と白の大理石を使って市松模様に配置した床面や天井画もなく、白を基調にした内装は、ベルサイユ
とは正反対の控えめなものだった。前面に設えられた窓からの光が、吹き抜けの階段に
ヒし込んでいるのもなかなか良い感じで、午後のお茶でも飲みたい気分だった。
もちろん、わたしがこちらの内装の方を気に入ったのはいうまでもない。(あくまでも住処と考えたと
きの内装の好みだが)
ところで、二つある離宮はどちらも入場料を取られるのだが、どちらもカルト・ミュゼが使用できる。
ベルサイユ見学には、カルト・ミュゼが断然便利だ。
プティ・トリアノンの次はグラン・トリアノンの方へ回る。地図上で歩いていけなくもなさそうだったが
せっかく列車の切符を購入していることだし、大人しく園内列車がくるのを待つ。
ベルサイユの宮殿は有料だが庭園は無料ということもあってか、小学校低学年と思しき子供達が先生とスケ
ッチに来ていたり、U歩をする人たちをあちらこちらで見掛けた。が、その中でも特異だったのは、やはり
ジョギングをしていた人だろう。
ジョギングそのものが変なわけではない。問題はその格好だった。ランニングシャツにジョギングパンツp
だったのだ。むき出しの顔がこわばるような寒さの中闡ォをむき出しにして走るフランス人のおっちゃんを
見たときには、我が目を疑った。
こちらはコートの下にセーターやらババシャツやらを着込んで寒がっているというのに、何でそんな格好が
できるんだ。他の散歩している人だってコートは着ている。おっちゃんには寒さを感じる神経が無いのか。
この時は、このおっちゃんだけが特異かと思っていたがこの後、もう一人同じような格好でジョギングをする人を目撃。
もしかすると、フランスではジョギングは、どんな気温だろうとランニングにジョギングパンツを着るよう
に決まっているのかもしれない。……
フランス人、恐るべし。
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