山口さんの「さまよえるラム」−21

中東のお肉は食べられなかった紀行?


●大統領・アサド氏

 ツアー4日目。今日は午前中は昨日の宿泊地・デリゾールからひたすらドライブ。
午後はアレッポを観光し、宿泊するというスケジュールである。
さて、午前中ちょっと立ち寄ったのが、青く澄んだ「アサド湖」。
名前の由来は、政権握って30年・アサド大統領だ。

30年という長さから察せられるとおり、シリアはアサド様さまサマの国。
後光を放った笑顔のアサド大統領の巨大な看板は、町中でも田舎でも、いたるところで見られる。
アサド大統領の両側には、視線は斜め上を向いた、サングラスをかけた軍人風の男性が描かれている。
親衛隊か、シリア政界ナンバー2&3に見える彼らは、実はアサド大統領の息子達。
ドラマチックなその構図は、映画の看板のようにも見えた。
 ところで、アサド大統領はなかなかの男前。細面で、豊かな髪と口髭を蓄えている。
アラブ系というより、白人系の顔つきだ。
実のところ、政治の手腕よりも顔で再選され続けているのではないかと思わされた。
それにしても、政権交代の時は、この大量の看板はどうなるのだろうか。 予算別に、3つの案が考えられた。

1.予算・大−塗り替え   ペンキ屋が繁盛し、内需拡大が見込まれる。

2.予算・中−次期大統領の整形   個人単位の整形なら、1案より安上がり。

3.予算・小−息子が継承   より似ているほうが継ぐのがベター。

 旅行中は看板を見かけるたび、それをよく冗談の種にしていた。 ところが先日、本当にアサド大統領が亡くなってしまった。
そしてご存知の通り、次男坊が大統領に就任した。 面食い国民、やっぱり顔で選んだな。
テレビで次男坊の顔を見たとき、推測は確信に変わった。



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