山口さんの「さまよえるラム」−15

中東のお肉は食べられなかった紀行?


●マリ遺跡

 ツアー3日目、最初の観光地は「マリ遺跡」。旧約聖書の文献が見つかって有名になった遺跡だ。  天気は今日も快晴。10時過ぎにはもう、5分も歩くと汗だくになる暑さだった。  ところが、遺跡に着いてバスを降りた時は、少なからずびっくりした。「MARI」と書かれた看板の後 ろにあったものは、こじんまりとした1軒の民家だったのだ。

 こ、これだけ? はりまや橋真っ青、世界で3指に入る「がっかり名所」だ!  それは勘違いだった。遺跡は、そこから5分程歩いたところにあったのだ。  要は、看板の位置が手前過ぎただけである。が、紛らわしかったのは事実だ。何人かは同じ勘違いをしていた。

高知県は、高知市のど真ん中にある橋。その昔「坊さんかんざし、買うを見た」と 歌われた、高知随一の観光名所?!橋のランカンだけしかなく、下は地下道という風情もなんにもなかったが、近年 これでは、まずいと風情のある橋が隣に新設され、下も小川になった模様。
しばらく帰っていないので見てないです(汗)

 個人で行く人は、民家だけ見て帰ってしまわぬよう気を付けよう。  マリは、現在発掘真っ最中の遺跡。まずは小高い丘のような場所に登ると、眼下の地面は建物らしい形に 掘り返されていた。それらを神殿として見るには、さらなる発掘か、たくましい想像力が必要だ。

 遺跡の周りはひたすら砂漠だったが、唯一視界を遮るものがあった。南東方向はるか彼方に、ぽつんと1 本立つ、針のような細高いポール。サウジアラビアとの国境だ。

ちなみにこの国境は、イラクとの国境です!!
シリヤはサウジアラビアとは、国境を接していません!

 あの向こうに石油王がいるのか。出会いの夢を込めて眺めた細いポールは、蜃気楼のように、あわくはか なく見えた。

 次に見たのは宮殿跡。巨大テントが被せてあるここから先が、マリの本当の見どころだ。  幅1m弱の溝のような道を下っていくと、高さ10m弱の土壁に囲まれた遺跡の内部へ着く。広間や寝室 が細い廊下で結ばれており、立体迷路のようである。 テントの向こう側は、かなりの広範囲に渡って、さ らに発掘が進んでいた。独房サイズの竈(かまど)やカメの貯蔵庫、貯水池(?うろ覚え)等々。使用人の スペースだったらしい。

 一回り見て回ると、バスのほうへ引き返した。 それにしても暑い。4月でこの暑さなら、夏はサウ ナ状態なのは必至だ。発掘中にも拘わらず作業員がいなかったのは、涼しい時だけ作業するためかも知れない。

 発掘が早朝と夕方と冬だけだとすると、のんきなアラブ人のこと、全部掘り出すのはやしゃごの代になる だろう。



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