コンヤは、13世紀にイスラム神秘主義教団「メブラーナ教」が発祥した地として有名です。メブラーナ教の教えとは、
1、神は尊い。
2、よって、神が作ったものも尊い。
3、人間は神が作った。よって、人間も尊い。
4、よって、旋回しながら踊れば、神と一体になれる。
というものです。1から3までは関連が分かるけど、何故それが4に繋がるのか?
メブラーナさんは、単に踊りが好きだっただけではないのか?・・・そう思ったあなた、
イスラム教2千年の歴史とアラーの偉大さは、われわれ凡人の理解の範疇をはるかに越えているのです。(合掌)
修行法は、円筒形の帽子に白い上着とフレアースカートといういでたちで、両手を肩の高さに上げ、 ぐるぐる旋回(1時間以上)します。写真で見た衣裳は、映画「ルパン3世・カリオストロの城」 の結婚式のシーンの、「バージンロードの横に剣を持って立つ怪しげな人達」を彷彿とさせます。 確かにそれだけ長い時間回っていれば、意識が朦朧として、神でも仏でも、ダンプ松本が中山美保にでも見えるでしょう。 ・・・そう思ったあなた、イスラム教2千年の歴史とアラーの偉大さは、われわれ凡人の理解の範疇をはるかに越えているのです。(合掌)
ところが、この神秘的な宗教は、1925年の政治改革で活動が停止させられてしまいました。 今は年1回12月に1週間、旋舞が観光行事として市内の体育館で公開されています。 創始者のメブラーナさんも、まさか自分の考えた修行法が観光名物になるとは思っていなかったでしょう。 きっと、「アラー、まあ」と驚いているに違いありません。・・・そう思ったあなた、 イスラム教2千年の歴史とアラーの偉大さは、われわれ凡人の理解の範疇をはるかに越えているのです。(合掌)
ところで、昼は博物館の近くのレストランで食べたのですが、そこを出てから博物館にたどり着くまでの間、 10歳くらいの少年が「20マイ千円!20マイ千円!」と言いながら、 直径10センチ位の金属製の皿を山のように抱えて従いてきました。 10分余り歩くうちに皿の値段は「22マイ千円!23マイ千円!」とだんだん下がって行き、 博物館に入るときには「30マイ千円!」となっていました。 わたしには、トルコ語で30まで数えることなどできません。大したものです。
さて、約30分ほどの観光を終えて博物館を出ると、かの少年がきらきらと目を輝かせて待っておりました。
そして、バスに乗るまでの30mの間に皿はさらに値が暴落し、ついに40マイ千円の大台に乗ったのであります
(まるで最近の株式市場を見るかのよう) だがしかし!彼の健気な努力は徒労には終わりませんでした。
まとめ買い割引に弱い日本人マダムの気持ちを、終に彼は揺さぶったのです。
「あーら、40枚千円なの。じゃあ買ってみようかしら。」
ツアーの一人がそうつぶやいてバスを出て行きました。
そして、帰ってきたその手には、難攻不落の大阪城に一人忍び入る服部半蔵が用意する
手裏剣くらいはありそうなボリュームの皿をかかえて戻って来たのでありました。
あれで「番町皿屋敷」ごっこをすれば、一晩は遊べるでしょう。飽きたら忍者ごっこもいいですね。
追記/前回、「イスラム教2000年の歴史」と書きましたが、6世紀から始まったので「1400年の歴史」の間違いでした。スミマセン。
10年ほど前にNHKが作ったドキュメント番組「シルクロード」はトルコでも好評だったそうで、 ウールさんはきたろうの「シルクロードのテーマ」のテープをかけてくれました。 音楽から想像される通り、道の両側には見渡す限り草原となだらかな丘が連なり、その上を大きな綿雲がゆっくりと移動していきます。 大平原の真ん中で、広々とした空を目の高さまで星が圧倒的に覆い尽くす夜を無数に経ながら 気の遠くなる程遠い中国を1歩1歩目指した商人達の気持ちを思うと、鳩尾がきゅっとするような感慨深さがありました。
しばらく「シルクロードのテーマ」を流した後、ウールさんはいつもの多少怪しげなトルコの伝統音楽 (けっこう情熱的な歌付き・トルコ語なので全く意味不明)にテープを戻し、 バスはゆるいカーブを描く一本道をなぞるように、快調に走って行きました。
さて、カッパドキア地方でもう一つ有名なのが、「お土産が安い」ということです。 実際に安かったので、トルコで買い物をするならここで買いましょう。 トルコ旅行で一番楽しみにしていたカッパドキアであるし、しかも物価が安いということで、 初めからここで何かお土産を買うことにしていたわたくしは、路傍のテント張りの売店に行ってみました。 毛糸の帽子や靴下(この地方は冬はとても寒い)、幾何学模様の布製のリュックやカバン、 トルコの売店ならどこにでも必ずあるシルクのスカーフ等色々ありましたが、 「これぞカッパドキア!」というものをわたくしは買いました。
それは、カッパドキアの軽石を彫って作った高さ10cm位の置物で、2つくっついたキノコ岩に、 沢山の入り口や窓が彫られています。熱帯魚の水槽にいれたら「タニシの巣」にぴったりしそうな代物です。 売り場の少年に「これは誰が作っているの」と訊くと、 テントの横で器用に彫刻刀を奮っている10歳位の少年を指差しました。弟なのだそうです。 「2番目って、やっばりどこでも便利で地道な役回りなんだわー」などと彼がいじらしくなったわたくしは、 思わず言い値で買ってしまったのでした。 それにしても、観光資源を削って売り物にしていいのだろうか?ふとそんな疑問も浮かびましたが、 あの次男坊の笑顔の前にはどうでもいいことでしょう。
もうひとつ目をひいたのが、やはり10歳くらいの少女の手作りの、大層目の込んだ、
美しい模様のレース編みです。マットを広げて売り物を自分の前に並べ、手はレース編みを続けながら
「3枚千円、3枚千円」と呼びかけるのです。日本ならゲームとマンガのことしか頭にない位の子供なのに・・・
わたくしは多少しんみりした気分になったのでした。
確かに左脳はそう命令していたのですが、グラスを持っている左手を支配しているのは右脳。> ひらりひらりとグラスは口に運ばれ、すっきりした飲み心地の名物カッパドキアワインは、 栓をぬいた風呂の水の如く、みるみる無くなってしまいました。 ただーし!これはわたくしが一人で飲みまくったわけではありません。 少なくともカシマさんには負けました。後は・・・わたくしの記憶にはございませんが、 平素並しか飲んではおりません。かわいいものです。
さて、いい気分になっている我々の前に、突如世にも妖し気な手相占い師、名付けて「カッパドキアの母」が現れました。
結婚運を中心に金運、性格、海外旅行運などを占ってくれます。
いかにもうさんくさそうではあったのですが、何分タダで占ってくれるので、みんな我も我も手を差し出します。
その御託宣もまたとことん妖しく、その場にいた未婚の女性には全員「30歳で結婚のチャンスがある」と告げていました。
あまりの盛り上がり様に、終いにはウエイターまでがやってきて、期待の籠もった目を向けながら手を差し出しました。
その彼に、占い師は告げました。「あ、結婚線がない」
そのときの彼の動揺ぶりは、今思い出してもあわれです。さっと姿を消すと、今度は同僚を連れて来ました。
その同僚の手をみた占い師は言いました。「そうねー、25歳辺りで結婚かなあ」まだ25歳前の同僚は大喜び。 少し悔しげな表情を浮かべた初めのウエイターは、今度は先輩らしい人を連れて来ました。 「うーん、あなたも25歳辺りだ」そこで先輩が「おう、当たってる!」と言ったので、その場はもう大騒ぎ。 彼は既婚者だったのです。こうして結婚の希望を絶たれたウエイターは、2度と我々の前に姿を見せませんでした。 占いなんて気にするな!結婚だけが人生じゃないさ! 英語でそう言えるよう・チ窒チておくべきだった、とカッパドキアの母は、 ベットに寝転がってうとうとしながら、やや二日酔いの頭の片隅で反省したのでありました。
エセ占い師には気をつけましょう。