中南九州・自転車旅行



土木科の生田くんと南九州を自転車で一周する計画を立てました。彼の自転車は普通のランドナータイプなので 主だった荷物は僕のキャンピング車に載せました。彼の自転車にはワンダーフォーゲル用のキスリングバックを荷台に縛って います。今回は、2−3日に一度はYHを使って洗濯とお風呂に入る。一日100km以下の走りにとどめる。 長期の走りになるために体にやさしい走りを目指しました。また、橋やダムの見学もコースに組み込むなど 社会勉強も取り入れました。


第1日め、高知ー>宿毛(150km)
彼の家は宿毛にあって、九州に渡るフェリーも宿毛から出ているのでまずは、宿毛まで足慣らしです。 中学時代には自転車を押して登った久礼坂も今回は、30分程度で登り切り、我ながら感心してしまいました。 途中、窪川で寮で同じ部屋の萩原んちを尋ね、お昼をゴチになりました。 その後も快調に飛ばして夕方には宿毛に入りました。


第2日め、宿毛ー>佐伯ー>延岡(60km)
朝一のフェリーで九州は佐伯に渡りました。ここから本格的なツーリングの開始です。まずは、宗太郎坂。 国道10号線なので車も多く、得意のジグザグ登りもあまり使えませんでした。僕は前日に走っているので そんなにきつくはなかったですが、彼にとっては初めての長距離なんです。 無理をせず、自転車を押して登ってきました。 坂を越えれば長い下りで楽できます。今日は延岡から高千穂側に少し入った学校の運動場でキャンプです。 学校の運動場なのでベンチや水場もあって便利です。ただ、国道に近いので少々、車の音がうるさかったですが。

第3日め、延岡ー>高千穂(50km)
今日は、五ヶ瀬川を溯って高千穂までです。ずっと登りなので距離は出ません。そして高千穂では峡谷のボートや見所も 周るので走る距離も短めです。明日は、九州山地を横切るので体力の温存です。そして初めてYHに泊まりました。 僕らを入れても6名のホステラーでした。食事の後のミーティングでは先輩にいろんなゲームを教えてもらいました。

第4日め、高千穂−>宇土(90km)
幾つもの小さな峠を越えて宮崎県から熊本県に入りました。 途中で通潤橋を見学しました。この橋は石作りのアーチ橋で江戸時代に作られたと思えないくらい立派で大きなものでした。 山を下り、有明湾に出ました。宇土から少し行った長浜でキャンプすることにしました。

町に入り、古ぼけたバス停で野宿をすることにしました。彼が野菜を仕入れに行っている間に晩ご飯を作りました。 彼が帰ってくると八百屋のおじさんが自宅の納屋に泊めてくれるというので受けることにしました。 食事を済ませ、おじさんの家にある納屋で一晩明かしました。


第5日め、宇土ー>本土ー>牛深(120km)
おじさんに挨拶をして天草の島を目指します。写真は天草5橋の展望台からみた天草の島々です。 島と言っても橋で結ばれていますのでフェリーは必要ないです。 観光地としても有名な天草5橋を渡って本渡市です。ここまでは海岸線の走りなので快調に走れます。

本渡からは下島の真ん中を200m級の峠をいくつか越えなくて行かなくてはなりません。 しかし、彼は連日の走りで疲労がピークになっていました。 平坦な道ではそんなに目立ちませんが、峠になるとかなり遅れてしまいます。なんとか頑張って牛深に到着しました。

キャンプは牛深の先にある島の公園展望台にしました。今晩はお好み焼きなのでキャベツを仕入れに彼が街に降ります。 地元の人の方言がかなり解りにくかったようです。晩ご飯の前に展望台のレストランでお茶しましたが、その時の夕日の美しさは いままで見たことがないくらいに奇麗でした。公園には手をつなぐアベックの長い影が落ちていました。

第6日め、牛深ー>川内ー>宮之城(80km)
翌朝、地元の若い衆に起こされましたが、旅の話しをするとなにもせずに行ってしまいました。 今日は、牛深からフェリーに乗って長島に渡り、黒ノ瀬戸を越えて再び九州本土に戻ります。 相棒は疲れから膝を悪くしたようで平坦な道でも辛そうでした。予定では今日もキャンプでしたが、 温泉のある街で民宿を探すことにしました。

川内市から山に入ったところに宮之城温泉があります。 ちょうど予定ルートだったので小さな温泉民宿に宿を取りました。一日の湯治では効果はないでしょうが、 ゆっくりお布団で眠れることが彼を楽にしてくれるでしょう。

第7日め、宮之城ー>えびのー>小林ー>えびの高原(110km)
翌朝、川内川を堰きとめている鶴田ダムを見学し、その上流にある曽木の滝をみてえびの高原を目指します。小林から高原に 登るのですが、時間がちょっとあったので、近くにある陰陽岩(でっかいチンチンの岩)を見学しました。併設されている ちんけな秘宝館も後学のために入館しました。

この寄り道のため、えびの高原にあるYHに着く時間が遅くなってしまいました。 さらに上り坂なので思うように進めません。そこへトラックが止まって自転車ごとYHまで乗せて行ってくれました。 合掌。えびのYHは正統派のYHでミーティングは地元の見所をスライドを使って説明してくれたり、フォークソングを 歌って旅情を盛り上げたりなかなかでした。


第8日め、えびの高原ー>霧島高原ー>都城ー>桜島(80km)
朝、YHを出発していきなりの上り坂、1200mの高原まで続く最大の難所です。 僕は2時間で登りましたが、相棒は3時間かかりました。峠に自転車を置いて韓国岳登山に出発です。 峠からは往復2時間で登れます。写真は、頂上からアマチュア無線のCQを出しています。 山から下りて霧島神宮へ旅の安全を祈願し、甌穴で有名な関ノ尾滝に向かいました。下り一辺倒なので超楽チンでした。 甌穴を見学し、桜島に向かいます。

あいにく天気は悪く、小雨になっていました。 国道10号線から桜島へのショートカットの坂を錦江湾に下りている時に事件が起きました。 先行している僕を相棒がものすごい勢いで抜いていくのです。かなり急な下りなのでスピードを出すと危ないと思いました。 見る間に相棒は転倒してしまいました。 近寄って見るとなんとか起き上がれるようです。自転車も異常なかったようです。 聞くと雨でブレーキが利かずにスピードが落とせなかったと。しかたなく自分で転倒させたと言っていました。 ゆっくりと坂を下りることにしました。でもケガも擦り傷だけでよかった。入院でもしたら大変だった。

さらに事件は続きました。湾岸に降りてしばらく走るとパラパラと雹が降ってきました。雨も激しくなり、桜島の道路が なんと冠水して通行止めになっていました。僕らは重い自転車を担いで冠水した道路を進みました。 今日は最悪だったので桜島YHに宿を取りました。 YHは突然の大雨で宿泊者が膨れ上がって、食堂にまで布団を敷いていました。さらに食後のゲームでは運悪く、ゴキブリ踊りが あたってしまいました。

第9日め、桜島−>鹿児島ー>指宿(50km)
朝には雨は止んでいましたが、ものすごい南からの風が吹いていました。 フェリーに乗って鹿児島に渡ります。風が強いので市内見学もしないで南を目指します。しかし、南からの強い風のために 風圧面積の大きなキャンピング車に乗っている僕はなかなか前に進めません。相棒も足がよくないので同じような状況です。 なんとか指宿に到着しました。今日は最初からYHを予約してあったので草々にYHに入りました。

第10日め、指宿ー>佐多岬ー>大根占(90km)
フェリーに乗って薩摩半島から鹿児島湾を横切って大隅半島の先っぽにある佐多岬を目指します。フェリーは前日と同じくらい 強い風でしたが、欠航することなく、運行されました。出るには出たんですが、 凄い横風(南風)によってフェリーのローリング(横揺れ)は半端ではなかったです。こう少しで朝御飯を撒き餌にするところでした。 一時間程で反対側に到着。ツーリングを再会です。

佐多岬へ通じる道路は有料になっており、自転車は通行禁止になっていました。 ゲートに係員が居なかったので強行突破しました。しかし、岬に着くなり、係員のオヤジに戻れと一言。 佐多岬からの絶景を見ることなく、引き返すことになりました。 有料道路を戻って岬の脇にある小さな集落でレタス2個とマヨネーズを買って浜辺で焼け食いしました。

来た道を40km以上もガックリして戻る二人にキャンプを張る気力は残されていませんでした。 大根占で民宿をゲットして休んでしまいました。

第11日め、大根占ー>日南(90km)
朝御飯をゆっくり民宿で頂いて出発しました。今日は日南のYHを予約してあるのでのんびり走れます。 相棒の足もあまりよくなっていないので慌てることはありません。春休みが終わる前に戻ればokですから。 途中、都井岬をパスしたので予定より随分早くYHに着いてしましました。早く着いた分、溜まった洗濯物を洗えます。 毎日、違うところに泊まるし、天気もあまりよくなかったので洗濯物をする暇がありませんでした。 YHだと乾燥機があるところが多いので早めに着けば洗濯物も乾きます。


第12日め、日南ー>宮崎(60km)
今日は日南海岸の観光地を南から宮崎までゆっくり走ります。 鵜戸神宮で石を投げて願い事を祈りました。ソフトボール部の僕はばっちり水溜まりに入りました。 次は、青島の亜熱帯植物です。写真は、青島のやしの林です。 宮崎のキャンプ場所は、宮崎球場の裏です。目の前には土俵もありました。



第13日め、宮崎ー>西都原ー>高鍋(50km)
朝は宮崎神宮を参拝して、古墳の宝庫、西都原に向かいました。いろんな古墳が点在する西都原をゆっくり見学しました。 あまりゆっくりしたのでほとんど前に進まず、50kmしか走りませんでした。街の中にある公園でキャンプしました。

第14日め、高鍋ー>延岡ー>佐伯ー>宿毛(120km)
今日は快調に晴れました。ここ数日、ゆっくり走って来たので相棒の足も完治したようです。 リニアモーターカーの実験線などを見ながらかなりのスピードで佐伯を目指します。帰りなので気分もはやっていてペダルの回転が 早かったんでしょう。行きにあれだけ苦しんだ宗太郎坂もなんとトップギアでなんなく乗り切りました。2週間のツーリングで 足の筋肉が鍛えられていました。佐伯に夕方前に到着してしまい、夕方の宿毛行きのフェリーに乗れてしまいました。 夜、久しぶりに四国の土を踏みました。

第15日め、宿毛ー>高知(150km)
家族が宿毛まで迎えに来ていました。キャンピング車を車に積んで高知に帰りました。



走行距離1200km、2週間のキャンプとYH、民宿を利用し、最大級の旅となりました。

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