四国一周・自転車旅行


中学時代に同じ中学の友達と四国を自転車で一周する計画を立てました。最初は4人で行くはずでしたが、 やはり親の反対や心変わりで、最後には二人になってしまいました。 うちの家は、旅行には寛大で、ばあちゃんが本格的なキャンピング車を買ってくれました。 ただし、ヘルメット着用を義務づけさせられました。それも今風な格好いいものではなく、バイクのメットでした。 出発の時だけ着けてあとは巨大なお邪魔荷物と化していました。

テントと自炊の道具を満載して自転車は相当に重くなっています。ハンドルを持つ手が震えてしまうくらいです。 前後輪の両側にそれぞれバックをセットし、フロントバックをハンドルに。後ろの荷台には寝袋とテントを縛りつけています。

1日目、高知ー>中村(120km)
早朝、両親に見送られて家を出発です。コースは時計廻りに海岸線を一周する予定です。 初日は、中村市までの120km。距離はたいしたことはないんですが、途中に久礼坂と呼んでいる標高300m位の峠があります。 約7kmのきつい上り坂が続きます。最初にして最大の難関でした。慣れない新しい自転車と満載の荷物のため、自転車に乗って 峠を越えることは出来ませんでした。2時間位、押して峠を登りました。峠のドライブインでお昼です。 峠を越えれば後は、中村までは平坦な海岸沿いの国道です。夕方には中村に着きました。しかし、天候が急変して 雨が降ってきました。軟弱な僕らは、テントを張ることを諦め、民宿の厄介になりました。駅の案内所で紹介してもらいました。

2日目、中村ー>足摺岬ー>宿毛(100km)
幸い、昨日の雨は止んで曇り空でした。今日は足摺岬に行って高知県の端っこの街、宿毛までを予定しています。 中村を出てしばらくは四万十川沿いを海に向かって下って行きます。途中にある伊豆田峠でまた自転車を押して越えました。 今は、新しいトンネルが出来て楽になったそうです。足摺岬の玄関、土佐清水までは小さなアップダウンを繰り返す海岸線を走って行きます。 土佐清水からは足摺半島の海岸線と半島の尾根を走るスカイラインの2ルートがあります。海岸線コースはスカイラインより2倍の距離が ありましたが、スカイラインコースはものすごくきつい坂道なのであっさり、海岸線を選びました。 車1台がやっと通れる海岸線をくねくねと曲がりながら岬を目指します。岬のレストランでお昼にしてまた、来た道を引き返します。 土佐清水から宿毛までの国道321号線は、その当時国道とは名ばかりの危険な道路でした。断崖絶壁なのにガードレールのない 車1台しか通れない道でした。僕らは危険な国道を避けて、山越えの県道で宿毛に向かいました。 国道で行くと10k多く走ることにもなるので。宿毛には日がとっぷりと暮れたころに着きました。 市内を流れる松田川のほとりにテントを張りました。

3日目、宿毛ー>宇和島ー>大洲(100km)
今日はいい天気です。予定では大洲までですが、途中には幾つもの小さな峠が待っています。 宿毛では走りだして初めての自炊をしました。メニューはボンカレーです。 お米、燃料、カレーとすべて持って走っているので自炊するたびに自転車が軽くなっていきます。 コースを考える時に最初に辛い峠にするか最後にするかで迷いましたが、最後にした方がよかったみたいです。 荷物も減って軽くなっているし、旅行の後半には走りにも慣れて足にも力が付いてきます。 お昼は道路沿いのドライブインで野菜炒めなんかを頼んでいました。インスタントばかりなので野菜不足になるからです。 苦しみながらも大洲の街には予定通り着きました。川辺の公園にテントを張りました。 土が固くてテントのペグがなかなか刺さらなかったです。

4日目、大洲ー>長浜ー>松山(60km)
今日は大洲の街に入る前に見かけたパターゴルフをやって見たくて走るのをおサボりして少し、来た道を戻りました。 朝一でコースに出て36コースを周って再び自転車です。このまま国道56号線を行くと途中に中山峠があります。そこで 大洲から海岸へ出て海沿いの県道を松山に向かうことにしました。昼過ぎから天気が崩れ雨模様になってきました。 カッパを来て中からも濡れながらがんばって松山に着きました。 松山では雨の中、テントを張る気力がなく、松山駅の緑の窓口の前のガードで縁石を枕に眠りました。思えば凄いところで寝ていました。

5日目、松山ー>今治ー>西条(80km)
今日は一色さんちに顔を出して行きます。駅から家に持って来た無線機が調子悪いので修理を頼みたいと電話しました。 最初は他人の振りをしていましたが、こらえきれずに白状してしまいました。 一色さんちは、三津浜港の近くでした。お昼をごちそうになって海岸線を今治に向かいました。 松山から国道11号線を使えば西条も近いんですが、山越えなんです。それに三津浜まで来ているので海岸線を通った方が楽チンです。 ほとんど平坦な道だったので午後出発にしては結構距離が出ました。 西条でキャンプの場所を探しましたが、いいところは見つかりませんでした。 そこでヒューム管(下水道なんかに繋いで使う馬鹿でかい筒)の中で泊まろうと工場の人に 断りに行くと、工場の倉庫を使っていいと言われました。ラッキー!

6日目、西条ー>高松ー>津田(150km)
今日は高松までの予定でした。国号11号線は車は多いけど、たいした峠はなく、予定より早く高松に着きました。 ここで事件が起こりました。相棒がテントは疲れたので民宿に泊まりたいと言い出したんです。僕はもう少し走って郊外でテント を張るつもりでした。説得をしましたが、最後には相棒は帰ると言い出しました。しかたないのでここでお別れです。 彼は実家に電話を入れ、迎えに来てもらったようです。(高知と高松は150km以上離れています) 僕はさらに30km以上走って、交番で民宿を紹介してもらい素泊まりしました。 久しぶりのお布団とお風呂でぐっすりと眠れました。

7日目、津田ー>徳島ー>日和佐(110km)
朝、交番にお礼を言ってから出発しました。今日は日和佐までの予定です。 この頃になると走りにも慣れ、小さな坂道位では自転車を降りなくても登り切れるようになっていました。 テントは相棒が持っていたし、自炊道具と食料は僕が持っていたので一人になっても荷物は増えていないんです。 食料も燃料も残りわずかですが、明日には帰り着くので問題はないです。 快調に徳島を過ぎて予定の日和佐に入りました。屋根のある野宿の場所を探しましたが、いい場所がなかったので 高校の校庭に建設中の小さな建物を見つけ、そこに潜り込みました。そこで最後の晩餐です。その建物はどうも 工事中のトイレのようでした。まだ便器やタイルなんかもなく、床はコンクリートのかけらがゴロゴロしていました。

8日目、日和佐ー>室戸ー>高知(160km)
部活をする学生の声で目覚めました。いよいよ最後の走りです。 距離はもっともありますが、ここからの国道55号線は海岸線をほぼ平坦に走れます。 時速20km以上のスピードで高知を目指しました。途中から一人のサイクリストと合流していっしょに走りました。 彼の自転車はスポルディングタイプでフロントバック一つでかなりのスピードで走っていきます。 ついて行くのが精一杯でした。南国市で彼と別れ、僕は御免の親戚のおばさんちで小休憩。 そこから1時間位で家に辿り着きました。

総走行距離約900kmの7泊8日の初めてのツーリングはこうして終わりました。 費用の方も1万円弱だったと思います。 あの頃のような旅(走り)はもう出来ないでしょう。


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